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  • あや

君と共に生きる時間(2)

帰って来るなり真剣な顔で、書斎の窓越しに


「お母ちゃん、これすごく大事なことだから、仕事止めてちゃんと話を聞いて!」


何事かと、仕事をそのまま一先ずおいて食卓へ。

何やらごそごそを手から紙切れを出す。


「これ、今日、もらった…。」


君の11年の人生においてはじめての恋文、ま、ラブレターだったね。

実は先週からの流れがあり、同じクラス

の男の子が彼女のことを好きだという噂があり、


「え~、どうしよう!」


と、あたふたしつつも盛り上がっていたところ。



生まれた時から一緒にいる幼馴染で今は隣のクラスにいる子を、今までは将来の旦那さんと決めていた君は、戸惑いと同時に結構まんざらでもない様子。


手紙には君を好きになった理由が、一杯書いてあった。「噂が先行しちゃって、ちゃんと理由を伝えてなかったから」、と。これだけでも、会ったことないけど、いいヤツかも、って思える。


「親切で、思いやりがあって、面白くて、可愛くて、頭が良くて・・・・」


ま、親として聞いていても確かに悪くないよ。


でもね、私の頭に焼き付いたのは、

これを読んで聞かせてくれているときに君が浮かべた、あの一瞬の表情。

いろいろな感情の混ざった本当に微妙な、しかも初めて見せるあの表情。

ほんの一瞬の間に、子供から少女へ、そして女へとあっという間に変化したあの表情。


これを見ることができたのは、在宅で仕事をしてる親冥利に尽きるなぁ、としみじみ思った。


こうして子は巣立つ準備を着々と進めてるわけさ・・・。親として出来ることってどれくらい残されてるんだろうか。


追伸:手紙、写真に撮ったけど、やっぱり子供とはいえ、きっと大事にしたいものだと思うので載せないよ。


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